生活の変化は、うつ病を発生する引き金として、大きく影響することがあります。家庭環境や仕事環境の変化は、勝手が違ったり、覚えなければならないことも多く、慣れるまでに緊張を強いられます。
また、変化が思っていたのと違っていたり、ついていくのが難しかったりすると、意識している以上に、気持ちの負担になったりして、心が疲れてしまいます。
そのような状態が長く続くと、心は悲鳴をあげて、うつ症状があらわれてくることになるのです。
生活の変化によるストレッサーがうつ症状の原因になっている場合
まず、生活の変化によるストレッサーを見てみましょう。
うつ病の原因の中で、生活の変化によって生じるストレッサーを、多い順にあげています。あなたに当てはまる生活の変化がありますか?
生活の変化に関わるストレッサー
- 転勤
- 退職
- 仕事上の地位(責任)の変化
- 勤務先の大きな変化(合併・組織変更)
- 就職
- 勤務時間や労働条件の変化
- 転居
- 配偶者の妊娠
- 長期休暇
- 子供の誕生
- 配偶者の就職
- 年の暮れ
いかがでしょうか?
生活が大きく変わる上記のストレッサーに当てはまるものはあったでしょうか?
そして、このような生活の大きな変化があった時に、あなたの心の中で均衡を保っていたマインドセットがバランスを崩し、うつの症状が現れるようになるのです。
生活の変化によるうつ病の原因となるマインドセット(価値観・思い込み)とは
主な7つのマインドセット
うつの原因となるマインドセットは、大きく分けると以下の7つになります。あなたのストレッサーを想定しながら、ご自分の心に現れているマインドセットが何か、考えながら読んでみてください。
- 根拠もないのに、将来について非常に否定的・悲観的な予想をしてしまう(悲観的予想)
- 自分や周りの状況について、0か100かの決めつけをしてしまう(オールオアナッシング思考)
- 何の根拠もないのに最悪の結論になると思い込んでしまう(結論への飛躍)
- 物事や自分の否定的な細部に注目し、そのことばかり考えて、他の良い面からは目を背けて見ないようにする(トンネル視野)
- 何かよくないことがあると、自分が悪いと思い込んでしまう(自責思考)
- 他人に対してあるやり方でやらなければならないと思い込む(他人へのねばならない思考)
- 自分に対してあるやり方でやらなければならないと思い込む(自分へのねばならない思考)
転職や、転居など生活が変化した時、心の余裕を失って、これらのマインドセットのいくつかが、強く作用してしまいます。
すると、ちょっとした違和感であっても、変化の多くに対して、これらのマインドセットが働いて、どんどん気持ちが落ち込んで、未来はもっと悪いものに感じられ、ますます気持ちが追い詰められて、悪化する状況から抜け出そうともがくうちに、うつ症状があらわれてきてしまいます。
それでは、それぞれのマインドセットがうつ症状を招く事例を見てみましょう。
悲観的予想
根拠もないのに、将来について非常に否定的・悲観的な予想をしてしまう
30代の女性が、月々の家賃並みのローン支払いで、マンションが手に入るという不動産会社の言葉にひかれて、駅近で、モデルルームも魅力的だった為、ほとんど衝動買いに近い形で、契約しました。
契約の後、前の家は駅まで商店街を通っていたので、何かと用事をすませるのに便利だったのですが、購入したのマンションは、駅まで何もない幹線道路を通らねばならず、空気も悪いし、用事も片付かないことに気がつき、急に購入するのがイヤになってきました。
ここから、彼女の心の中にある悲観的予測というマインドセットが働き始め、このマンションは立地が悪いから売るに売れないとか、家賃並みとはいえ、35年もローンを払えるだろうかと考え始め、夜も寝られないほどの不安な気持ちになり、引っ越しの頃には、すっかりうつの状態になってしまいました。
オールオアナッシング思考
自分や周りの状況について、0か100かの決めつけをしてしまう
それに彼女にはオール・オア・ナッシング思考というマインドセットもあったことが、彼女のうつ状態をより深刻なものにしました。
このマインドセットは別名、完璧主義とも言い、何か1つでも気に入らないことがあると、もう全部嫌になるというもので、彼女の場合は、車の多い幹線道路を通って、駅に行くことがとても嫌だったため、それだけで、このマンションはイヤだという気持ちになってしまったのです。
結論への飛躍
何の根拠もないのに最悪の結論と思い込んでしまう
さらに、悪いことに、彼女には、結論への飛躍というマインドセットもあったのです。
彼女のこの物件が嫌になった理由は、駅までの間に車が多く通る幹線道路を通らねばならないということだったのですが、ちょっと考えてみれば、幹線道路を通らずに駅に行く道もあるでしょうし、駅の周辺には便利なお店もあります。
それであるにも関わらず、このマインドセットを持つ人は、それ以外に方法があるかどうかも考えず、もうこのマンションは良くないと決めつけてしまい、憂鬱な気持ちになって、深く落ち込みます。
トンネル視野
物事や自分の否定的な細部を選び出して注目し、そのことばかり考えて、良い面からは目を背けて見ないようにする
彼女がうつ状態をさらに悪くしたのが、トンネル視野と言うもう一つのマインドセットです。
前の家は、駅まで商店街を通っていたので、何かと用事をすませるのに便利だったのにも関わらず、新しい家は、駅まで何もない幹線道路を通らねばならず、空気も悪い。
この一点が気になって、まわりがどれだけ彼女が購入した新しいマンションの良いところを、話してもまったく聞く耳を持ちません。
そして、気持ちが沈み込み、体重まで減ってゆきました。
自責思考
何かよくないことがあると、自分が悪いと思い込んでしまう
このケースではありませんでしたが、マンションを購入をして、それが失敗だったと思ってしまった人の中には、
家族で相談して決めたのにも関わらず、この失敗は全部自分の責任だと思い込み、とても大きな買い物であることもあって、深く落ち込み、鬱状態になった人もいます。
このように、何かうまくいかないと、全部自分が悪いと考え、落ち込んでしまうマインドセットを持つ人は、うつ状態になることが多いのです。
ねばならない思考
あるやり方でやらなければならないと思い込む
この「ねばならない」は、自分自身に向かうこともあるし、他人やまわりの現象に向かう時もあります。
マンション購入の事例では、他人に対しての「ねばならない」でした。
彼女は、不動産販売の担当者に対して、家賃並みの支払いでマンションが買えるとか言うべきではないとか、もっと周辺情報を伝えるべきだったとか、自分の都合で怒るのですが、どうにもならないことがわかり、そのやり場のない怒りをどうすることも出来ず、うつ状態になってゆくのです。
いかがでしょうか?
生活の変化に関わるストレッサーが原因でうつ症状になっている人に表れる、マインドセットの影響の例をご説明しましたが、
あなたには、思い当たるものがあったでしょうか?
どのようなマインドセットによって、自分の言動がなされているかを特定できれば、その影響を薄めることによって、気持ちに余裕ができて、考え方が自由になって、うつ症状も改善されていきます。
生活の変化によるうつ病の原因となるマインドセット(価値観・思い込み)を特定する
生活の変化のために、あなたにうつ症状が出ているのであれば、あなたの心の受け止め方、すなわち、マインドセットを特定して、それを変えてゆきましょう。
ほとんどのうつ症状の人は、この中のどれかのマインドセットを持っていることが多いです。
このマインドセットの中で、あなたのうつ症状の原因だと考えられるものがあるのであれば、
その影響を薄めることによって、気持ちに余裕ができて、考え方が自由になって、うつ症状も改善されていきます。
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