うつの原因となるストレッサーの中でも、最も深刻なのが、家族が病気になったり、亡くなった場合です。
特に、それが死亡に至った場合は、とても大きなストレスに発展し、大切な人を失った深い悲しみのため、ほとんどの人が、うつのような状態になります。
そして、それがさらに深刻になると、うつ病にまでなってしまうのです。
家族の病気や死がストレッサーとなり、うつ症状の原因となっている場合
あなたのストレスが、下のリストにありますか?
ストレッサーが、うつ病の原因の中で、不健康に関わるものを、多い順に並べています。
病気や死にかかわるストレッサー
- 子供の死亡
- 配偶者の死亡
- 交通事故
- 親の死亡
- 大きなケガや病気
- 家族の病気
- 長期入院
- 親友の死亡
大切な人の死は、言わずもがなですが、自分自身が、大きなケガや、病気をして、体が不自由になったり
、長期の入院が必要となるようになった場合、多くの人は、とても落ち込みうつのような状態になります。
ただし、その病気をポジティブにとらえ、
- 忙しかったので、ゆっくり考える時間ができた
- 初期の段階で発見できてよかった、完全に直してしまおう
- 健康のことを考えるいい機会を得た
というふうに、前向きにとらえる人もいます。
うつのような状態になる人と、ポジティブに捉えられる人の違いは何でしょうか?
同じストレッサー(この場合は、身内の死亡や病気)が、人生に起きても、ある人は、うつになり、ある人は、うつにはなりません。
その違いは、うつ病になるマインドセットがあるかどうかによることが多いです。
健康を害するようなことになると、どんな人でも、弱気になったり、先行きを悲観したりしてしまいます。
ただし、心の持ちようによっては、この状態でさえ楽観的にとらえ、前向きに元気よく暮らす人もいれば、
その反対に、マインドセット(価値観・思いこみ)により、気持ちが落ち込んでしまい、何もする気がなくなり、
健康を害するだけでなく、仕事や対人関係に悪影響を出してしまう人もいます。
その違いとなるマインドセットとは何でしょうか?
家族や自分の病気や死がうつ病の原因となる場合のマインドセットとは
上のストレッサーから、あなたのうつ病の原因となるストレッサーをイメージしながら、
あなたのうつ症状を引き起こしているマインドセットを下記の7つの代表的なマインドセットから見つけてください。
ほとんどの人がこの中のどれかのマインドセットを持っています。
下の説明を読みながらご自分に当てはまるマインドセットを探してください。
- 何の根拠もないのに将来について非常に否定的悲観的な予想をしてしまう(悲観的予想)
- 自分や周りの状況について、過程を飛ばして過剰な一般化をしてしまう(オールオアナッシング思考)
- 何の根拠もないのに最悪の結論と思い込んでしまう(結論への飛躍)
- 物事や自分の否定的な細部を選び出して注目し、そのことばかり考えて、良い面からは目を背けて見ないようにする(トンネル視野)
- 何かよくないことがあると、自分が悪いと思い込んでしまう(自責思考)
- 人に対してあるやり方でやらなければならないと思い込む(人へのねばならない思考)
- 自分に対してあるやり方でやらなければならないと思い込む(自分へのねばならない思考)
1つづつ事例を挙げて、ご説明していきます。
悲観的予想
何の根拠もないのに将来について非常に否定的悲観的な予想をしてしまう
病気になるとほとんどの人がものごとを悲観的に考えてしまうのですが、
このマインドセットを持つ人は、根拠がないにもかかわらず、これから起こるすべてのことに関して、悲観的に考えてしまう傾向を持っています。
例えば交通事故にあい大きな怪我をしたために手術が必要になったとしましょう。
このマインドセットを持つ人は、「病院の先生は90%回復すると言っているが、自分は回復しないという10%に入り、きっと回復しないだろう。」
「そして、長期に休みを取っている間に、会社は自分を必要としないようになり、退院後、仕事を失うだろう。」
というように、理由もなしに、悪い方に考え、どんどん落ち込んでいきます。
オールオアナッシング思考
自分や周りの状況について、過程を飛ばして過剰な一般化をしてしまう
このマインドセットは、別名、完璧主義とも言いわれます。
例えば、50歳を超えた人が、ちょっと小さい文字が見えなくなっただけで、
「小さい文字がこれだけ見づらいのであれば、自分はオフィスワークができない。もう役に立たない人間だ。」と考えました。
このマインドセットを持つ人は、なんでも完璧でなければ気が済まずに、少しでもケチがつくと一気にやる気を失い落ち込んでしまうのです。
結論への飛躍
何の根拠もないのに最悪の結論と思い込んでしまう
このマインドセットを持つ糖尿病患者の人が、家族が、担当医師に呼ばれた後、家族の様子がおかしかったため、
いろいろインターネットで調べた結果、自分の症状が、5年生存率が低いすい臓癌に近いと感じ、
家族が、呼ばれたのは、医師からその話があったに違いないと思い込んでしまいました。
この人は、このマインドセットから、自分がもうすぐすい臓がんで死ぬと勝手に最悪の結論であると信じてしまい、どんどん鬱症状が進行していったのです。
トンネル視野
物事や自分の否定的な細部を選び出して注目し、そのことばかり考えて、良い面からは目を背けて見ないようにする
彼女は、とても美しい人です。
ただし、ちょっと下腹のところが、ぽっこりと出ていて、彼女は、それをとても気にして、「私のお腹はなんて醜いんでしょう、こんな醜いお腹の私のことを好きになる人なんているわけない。」と、
家に閉じこもり、彼氏を作るどころか、友だちもほとんどいません。
ぽっこりとしたお腹という欠点ばかりを気にかけて、自分の美しさを見もしないという「トンネル視野」というマインドセットが、
彼女の気持ちをうつ状態にして、その結果、引っ込み思案にしていたからです。
自責思考
何かよくないことがあると、自分が悪いと思い込んでしまう
彼の母親は、重い病気を患い、亡くなってしまいました。
母親のことをとても大切に思っていた彼は、母親の死は、彼女に心配をかけ続けた自分のせいだと、自分を責め続けました。
実際は、母親の病気は彼のせいではないのですが、彼は、次第に暗い性格になっていき、そして、何をする気力さえなくなっていったのです。
ねばならない思考
あるやり方でやらなければならないと思い込む
このマインドセットには、自分に対して、~しなければいけない とか、~してはいけないと思い込む場合と、自分以外の人に対して、の場合の2種類があります。
まず、自分に対して、ねばならないと思い込む時によくあるケースは、大切な人を、病気で亡くしてしまった場合、
ねばならない思考を持つ人はあまりの悲しみのため、自分がしっかりしなくてはいけない、悲しんでる暇は無いと考え、とにかく頑張ろうとします。
本当はとっても悲しいのに、その悲しみを押し殺して無理に頑張ろうとします。
でも本当は心は悲しみでいっぱいなのです。それなのにがんばりすぎて、限界を超えると何も出来できなくなってしまいます。
人は、悲しい時は、その悲しみを感じる必要があります。自分が悲しむのを認めてあげないと、
心がまわりに反応する力さえなくなってしまいます。そして、その結果、深いうつ状態に入り込んでしまうのです。。
もう一つは、自分以外の人に対してねばならない思考を持つ場合です。
ある女性の夫は心臓発作で、一度病院に運ばれ、手術で命を取り留めて、今は普通に生活ができるようになっていますが、彼女は彼の生活態度がものすごく気になっています。
彼女は、夫は、本当は食事制限もきちんとするべきだし、適度な運動をする必要もあると思っています。
そのため、彼女は、必死で調べて病気にいい食事を作ったり、無理なくできる運動プランを作り、夫にさせようとしますが、夫はなかなか彼女の言うことを聞きません。
にもかかわらず、彼女は毎日必死で体に良い料理を作って、運動を勧めます。
でも彼女が頑張れば頑張るほど夫は言うことを聞きません。そのうち、彼女の中のねばならない思考は怒りに変わります。
私の夫は、私の作った健康に良い料理を食べなくてはいけない。私の作った運動プランのように運動しなくてはいけない。
でも夫は言うことを聞かない。なんて夫だ、私がここまで頑張ってるのに、ひど過ぎると考えてしまいます。
まだ、この気持ちを夫にぶつけられれば良いのですが、そうじゃない場合は彼女のやり場のない怒りが心にたまり、限度を超えるとまったく何をする気もなくなります。
夫に対するねばならないと言う思いが彼女自身を押しつぶし、深いうつ状態になってしまいました。
以上、不健康に関わるストレッサーが原因で、うつ症状を引き起こす代表的な6つのマインドセットの影響する例をご説明しましたが、
あなたには、思い当たるマインドセットがあったでしょうか?
どのようなマインドセットによって、自分の言動がなされているかを特定できれば、
その影響を薄めることによって、気持ちに余裕ができて、考え方が自由になって、うつ症状も改善されていきます。
あなたが、健康にかかわる問題でうつ症状が出ているのであれば、あなたの心の受け止め方、すなわち、マインドセットを特定して、それを変えてゆきましょう。
そうすることで、あなたのうつ症状は、ずいぶんと改善するはずです。
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